工事 平成17年3月~

 2月の突風で瓦が200枚ほど落下してしまい、

以前より雨漏りもしていましたので、思い切った改

修工事になりました。

 戦前に東京高輪にあった寺をここ中野に移築し、昭和33年に改修工事がなされております。

瓦も明治後半に埼玉児玉で作られたものを大事に今日まで使用しましたが、その役目も終え前面

吹き替えとなりました。 また本堂正面の一対の柱も腐り屋根を支えられず大きく傾いていまし

た。古瓦も50トンほど処分し野地の補修・取替えをしました。施工面が大きいため全体を6つに区

切り順番に進めていきました。大棟にはヒノキの船を付け下地としました。箕甲などの役物部分

瓦職人3人で1日に1メートル程しか進みません。

 瓦を降ろし軽くなったところで、柱の交換をしました。柱材は飯能西川材、樹齢250年、一尺角

(30センチ)のヒノキです。上部組み手も皿戸・方戸・雲肘木・枠肘木等全て昔からの伝統の組

み方で納めました。彫刻も全て自分でやってみましたが、研究しながら、昔勉強した書を引っ張

り出して勉強しながら、でとても面白い仕事でした。ただ樹齢250年のヒノキの柱に手を入れると

きには本当に緊張しました。縁あって私と出会いまさか、お寺の柱になるとはこの柱も思わなか

ったでしょう。

 仕事はなんとか出来ますが、今回は本当に自分で納得のいく材料探しが、一番大変な苦労でし

た。遠い将来平成の大工は仕事が下手だったとは言われないものに仕上がりました。

 工事内訳

  木工事   屋根野地の修理・取替え

        本堂正面の一対の柱の交換・組み手交換

  瓦工事   古来よりの神社仏閣伝統工法による葺き替

  左官工事  外壁・破風・軒天のシックイ補修

  錺工事   銅軒樋・竪樋・あんこ枡の交換

  鳶     架設工事・柱の交換

内部から見る
 建具の吊り込み工事(木工部)
 蹴込みのト金面のガラリ
  左官 敷居の補修
 本山家紋入りのデザイン擦り硝子
 前回の本堂改修工事のときに、前面作り変えの

計画もありましたが味のある古建具をどうしても

残したいという若住職さんの思いもあり中止致し

ました。それから半年戸車も動かなくなり、4枚

の板戸の建具の柱つきの2本を外へ嵌め殺して戸

袋のようにし、板戸・新規ガラス戸の引き分けと

しました。

 建具は巾1m20cm、高さは2m40cmと

おおきく、材は杉柾・腰板は杉のおとなしい板目

で作りました。今の建具にあわせて框の寸法も同

じです。今の角レールに合わせてステンレスのト

グルマを注文し、動きも軽くなりました。

 それと同時に本堂内部の一部床が傷み杉の無垢

板にて張り替えました。け込みは床が点検できる

ようにけんどん式で外れるようになっています。

杉の框組みとし、床の空気が動くようにし、竪桟

はと金面をとってシャープに見えるように作りま

した。木部は一切塗装せずに、何十年後には同じ

ようにきれいに古くなっていくでしょう。

 敷居は左官にて松煙入りのモルタルにて補修し

ました。(松煙とは松材を燃やし、その時に出る

すすの粉を混ぜ、黒いモルタルを作ります。)

 今回の工事にて、板戸からガラス戸となり本堂

の内部も明るくなり、お参りする方々も御本尊様

を拝観出来、また古建具が雨戸代わりとなり皆様

に大変喜んでいただきました。硝子は上下7分の

2を擦り仕上げとし、残りの部分を透明としてあ

ります。上の擦り部分は本山の家紋である八藤紋

を入れてあります。

  新規建具を吊りこんだ所
 法事が重なりますと、どうしても40~50

足の履物が玄関先に集まります。中には他人の

靴を履いていってしまうことも結構あるようで

す。今回2組の方が法事をされても良いように

左右に八段づつの履物入れを造りました。約9

0足が収納可能です。

 材質は秋田杉の柾目の合板を練りつけフラッ

シュとしてあります。仕上げは生地仕上げとし

て、棚板は14枚のうち12枚をダボにて取り

外せるようにしてあり、隅々まで拭き掃除が簡

単にできるようにしてあります。これはお寺の

奥方が掃除が行き届くようにという御要望から

棚板がはずせるように製作いたしました。

 地震などでも倒れぬように既存の壁にビスで

縫い付けてございますが、ビスを隠すために

(写真ー1、-2)縫い付けてから杉の飾りを

不規則に貼り付けています。仕事の逃げですが

ランダムに貼ってある杉の大小の飾りがちょっ

とおしゃれになっています。 

 杉柾の下足入れ

 (巾2000、高さ1800、)

 写真ー1 杉の飾り(小)
 写真ー2 杉の飾り(大)